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働き方改革関連法の施行について ―⑤労働時間の設定の改善に関する改正(勤務間インターバル制度等)―

弁護士 羽場知世

働き方改革関連法に関する第5回目の情報配信をさせていただきます。
今回のトピックは労働時間の設定の改善に関する改正(勤務間インターバル制度等)です。

「労働時間等設定改善法」(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)は、事業主に労働時間等の設定の改善に向けた努力を促すことで、労働者の能力の発揮や健康な生活を実現することを目的とした法律です。今般、同法が改正され、努力義務に留まりますが以下の規定が設けられました。

改正の概要

1. 勤務間インターバル制度導入の努力義務

上記法改正により、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みをいいます。

勤務間インターバル制度の設計の詳細については法律上定められておりませんが、

  • 【例1】 休息時間と翌日の所定労働時間が重複したとき、重複した時間は作業をしないにもかかわらず労働したものとみなす方法
  • 【例2】 休息時間と翌日の所定労働時間が重複したとき、重複した時間分、始業時刻及び終業時刻を繰り下げる方法

等が考えられます。

(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、労使の自主的な取組が重要です。」より抜粋)

なお、インターバル時間について、法令上時間数の限定はありません。ただし、一定の条件を満たせば、インターバル制度導入に際して助成金を受け取ることができ、その条件の中には、インターバル時間を9時間以上とすることが含まれています。

2. 他の事業主との取引における配慮の努力義務

事業主に、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定(短納期発注)や発注内容の頻繁な変更を行わないよう取引上必要な配慮を行う努力義務が設けられました。これにより、長時間労働につながる取引慣行の見直しが期待されています。

施行日

2019年4月1日

実務上の留意点

いずれも努力義務に関する改正ですので、実務上直ちに対応する必要はありませんが、労働環境整備の参考としていただければと存じます。

改正の詳細については、以下のリーフレットをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000493467.pdf

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